前回、前々回の投稿では、ご自身で社会保険に加入するメリットとして「傷病手当金」や「出産手当金」の制度が受けられるようになります!というお話をさせていただきました。

これらの制度はすべて「健康保険」に関する制度です。
しかし、社会保険に加入する=健康保険に加入するだけではありません!
そう、忘れてはならないのが「厚生年金」。
扶養者は厚生年金に加入することはできません。
ですので、厚生年金に関する制度を受けられる、ということは社会保険にご自身で加入する大きなメリットであると言えます。

では厚生年金の制度とはどんなものがあるのでしょうか。
本日はその中身をいくつかご紹介したいと思います!

まずは基本!「老齢厚生年金」

厚生年金に加入すると、65歳以降に「老齢厚生年金」が支給されます。
「65歳からもらえる年金」、と聞くと皆さんもなじみがあるのではないでしょうか。
厚生年金に加入すると、65歳から受け取れる年金の額を増やすことができるんです!

どういうこと??って感じですよね。
この「65歳からもらえる年金」ですが、実は2種類あるんです。

1つ目「老齢基礎年金」

これは国民年金より支給される年金です。
日本には「日本国内に住む20歳以上60歳未満の方はすべて国民年金に加入しなければならない」という決まりがあります。
ですので、ちゃんと保険料を支払っていれば、私たちはみんな65歳になると「国民基礎年金」を受給することができます。

ちなみに会社員や公務員の方は国民年金の保険料は社会保険料等に含まれますので別途支払わなくてもOKです。
また、扶養者の方も国民年金の保険料を支払う必要はありません。
(例えば奥さんが扶養に入っている場合、奥さんの分の国民年金の保険料は旦那さんが加入する年金制度先が負担してくれます。)
自営業やフリーランス、無職の方など、社会保険や共済年金に加入しておらず、配偶者の扶養に入っていない方などは自身で国民年金の保険料を支払う必要があります。

2つ目「老齢厚生年金」

厚生年金より支給される年金です。
こちらは自身で社会保険(厚生年金)に加入している方のみが受けられる年金になります。
つまり、自身で社会保険に加入すると、老齢基礎年金だけでなく、それに上乗せして老齢厚生年金も支給されるということなんです。
このように将来の年金額が増えるという点は1つのメリットではないかと思います。

まだまだあります!「障害厚生年金」

障害年金は、病気やケガによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に、受け取ることができる年金です。
こちらは「65歳以降」という年齢要件はなく、要件に該当すれば65歳前でも受給することが可能です。

障害年金にも、①国民年金から支給される「障害基礎年金」と、
       ②厚生年金から支給される「障害厚生年金」があります。

障害基礎年金に該当しなくても障害厚生年金を受け取れる場合があります!

障害基礎年金は障害等級表の1級・2級による障害の状態に該当すると受けることができます。
障害厚生年金は 障害等級表の1級・2級・3級による障害の状態に該当すると受けることができます。
1・2級に該当すると、国民年金からも、厚生年金からも障害年金を受け取ることができます。
ですが、3級に該当した場合は国民年金からは障害年金が支給されない、ということになります。

ちなみに
1級:他人の介助を受けないとほとんど自分のことができない程度
2級:必ずしも他人の助けを借りる必要はないが、日常生活は極めて困難で、労働により収入を得ることができない程度
3級:労働が著しい制限を受ける(もしくは労働に著しい制限を加えることを必要とする)程度

3級なら該当するのに、というケースも多いかと思いますので、厚生年金に加入しておいた方が受給の可能性も広がるように思えますよね。
また厚生年金にはさらに「障害厚生年金に該当する状態よりも軽い障害が残ったときは、障害手当金(一時金)を受け取ることができる」という制度があります。
何かあった時のための保険としては、安心です。

さらにもう1つ!「遺族厚生年金」

国民年金または厚生年金保険に加入している、又は加入していた方が亡くなったときに、その方によって生計を維持されていた遺族が受けることができる年金です。
遺族年金にも、①国民年金から支給される「遺族基礎年金」と、
       ②厚生年金から支給される「遺族厚生年金」があります。

遺族基礎年金よりも遺族厚生年金の方が受け取れる可能性が高い!

遺族基礎年金は、 亡くなられた方によって生計を維持されていた「子のある配偶者」または「子」のみ受け取ることができます。
またここで言う「子」は結婚をしていない18歳未満の子限定です。
(障害がある場合は20歳未満)
つまり、高校生以下の子どもがいないと奥さんは遺族基礎年金を受け取れないし、子どもも同じく、ということになります。
遺族厚生年金は、亡くなられた方に によって生計を維持されていた「妻」、「子」、「孫」、「55歳以上の夫」、「父母」、「祖父母」まで受け取ることが可能です。
ちなみにここで言う「子」や「孫」も結婚をしていない18歳未満(障害がある場合は20歳未満)の方限定ですが、それにしても遺族厚生年金の方が受け取れる可能性が高いことがわかっていただけると思います。

社会保険は「生活保障」の意味合いが大きい!

社会保険に加入すると聞くと「社会保険料が高い」という金銭コストについてのみイメージが行きがちですが、ただただそれだけではありません。
健康保険のメリットとして紹介した制度を取ってもそうですが、社会保険には「何かあった時」に対する保障が手厚く設定されています。
ですので自分自身のこれからの働き方を考える際には、または今後の働き方を従業員に検討してもらいたいと思った際には、ぜひ生活保障としてのメリットも判断材料や説得材料にしていただければと思います。

副業や兼業も推進されており、今後はますますその個人にあった働き方を選択していく時代へとなっていきます。
選択ミスをしないためにも、ぜひ多くの制度について知っていただけると幸いです。