食品業界の人手不足問題

食品業界では現在、人手不足が深刻な問題となりつつあります。
また専門店では技術の継承は必須事項。
せっかく育てても、離職してしまう。
そんな問題も見受けられます。
人手不足を解消するためにも、技術を継承するためにも、入社希望者の増加と離職率の低下は有効なのです。

昔と今の働き方

昔は、とあるCMにもあったように「24時間戦えますか」で働いているのが普通でした。
会社のために自分の時間も犠牲にする。
残業なんかは当たり前。

しかし、今は違います。
「働き方改革」が叫ばれ、労働基準法の改正により「残業の上限規制」や「有給取得の義務化」等が定められています。
また男性の育休取得促進や副業の推進など、今まででは考えられなかったことが、どんどん進められているのです。
そして、若い世代にとってはそれが当たり前の考えなのです。

国をあげて働き方は変わっています。
それに対応しなければ、会社は生き残れません。
ましてや、そのような働き方が当たり前の世代を雇用者として取り込むには、会社がその新しい働き方を当たり前として運営していかなければならないのです。

魅力ある企業になるには?

SNSなどが発達し、以前よりも社内のことが外に発信されやすくなってきております。
あまりおかしなことをしてしまうと「ブラック企業」と拡散されてしまう危険性も。
逆に社員が「うちの会社はこんなにいいんだ!」と評価し始めると、その情報も外に流れていきます。
結果、入社希望者の増加、離職率の低下にもつながっていくのです。
ですので、人材の確保のためにも、まずは会社の中の労働環境を整えてみてはいかがでしょうか?

例えば有給取得の義務化。
なかなか忙しく個人が有給を取得したがらない、という場合もあるかと思います。
そういった場合には計画年休という取り組みが可能です。
計画年休とは、 企業側が労働者の有給休暇取得日をあらかじめ指定できる制度です。
例えばお正月の連休明けの日に計画的に有給を付与し、連休を1日増やしてあげるといったことが可能となります。

または育休取得のための取り組み。
こちらもなかなかコスト的に難しいと言った場合、例えば助成金を活用してみるのはいかがでしょう?
現在、厚生労働省からは育休取得に関する助成金が出されています。
助成金は返済する必要がありません。
助成金をうまく活用し、育休取得のための風土づくりや復帰のための流れを作ってみてはいかがでしょうか?

さらには人件費の高騰により人を増やせないといった場合、変形労働制を活用してみてはいかがでしょう?
通常1日8時間以上、週40時間以上働くと、それを超えた分は時間外労働手当(いわゆる残業代)を支給する必要があります。
時間外労働手当としては、通常の1.25倍以上の金額を支払う必要があるため、時間外労働が増えると人件費は高騰してしまいます。
ですが、食品業界は時期によって「繁閑」が顕著に出ます。
例えばお菓子業界は夏は暑くて商品が売りにくいですが、冬になるとクリスマスやバレンタインなどのイベントごとが多いため商品はよく売れます。
飲料業界は逆ですよね。
そこで登場するのが「変形労働制」。
閑散期は出社時間や日数を減らし、繁忙期は増やす。
けど平均するとちゃんと1日8時間、1週40時間に収まっている。
それであれば、繁忙期に多く働いたとしても、その分は時間外労働の手当てを支払う必要がなくなります。
ちなみにこれは1年で見た例ですが、例えば1カ月単位で行うことも可能です。
(例えば総務部は月末が忙しいと思うので、月中は週4日出勤、月末は週6日出勤にするなど)
このような制度を活用すれば、人件費を抑えることができ、その分新しい人員を雇うことが可能になるかもしれません。
労働者にとっても無駄な出勤がなくなる(夏はひたすら掃除をする、などといった食品会社さん、よく見かけます)、仕事にメリハリができる、プライベートの予定が立てやすいなどのメリットがたくさんあります。

このように、新しい制度に対応してもらうことを目的とした助成金の存在や、業界特有の働き方に対応した制度があったりと、実は「裏技」のようなものがたくさん存在しています。
ぜひこの裏技を活用しながら魅力のある企業づくりに取り組んでみてください。

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