食品業界を取り巻く法改正

食品を製造、販売するためには様々な法律を熟知し、遵守する必要がございます。
例えば以下のような法律が存在します。

食品表示法、食品表示基準法

2015年4月1日より、新しい食品表示のルールとして「食品表示法」が施行されました。
旧のルールからの移行期間も設けられておりましたが、それも現在は終了。
2020年4月1日からは、食品表示法に定められたルールにのっとった内容を商品に記載していないと、食品は販売できなくなっております。
(レストラン等でメニューを提供する場合や包装されていない加工食品などは食品表示法の対象ではありません。レストラン等で、仕入れたものをそのまま販売する場合は食品表示を記載する必要があります。)

早わかり食品表示ガイド(令和5年3月版・事業者向け)

食品表示法や食品表示基準法では、例えば以下のようなルールが決められています。

【ルール例】
①原材料と添加物の明確な区分
②アレルギーの表記方法の変更
③栄養成分表示の義務化
④製造所固有記号のルール変更
⑤機能性表示制度の創設  などなど・・・

また、2022年4月からはさらに、「 原料原産地表示制度 」が完全施行となりましたし、2023年3月からは
アレルギー物質として「くるみ」の表示が義務付けされています(2025年3月31日までは経過措置)。

食品表示法に違反した場合、以下のような罰則を受ける場合があります

早わかり食品表示ガイド(令和5年3月版・事業者向け)

食品衛生法

食品衛生法では、 食品の安全性確保のために様々な内容が定められています。
2018年6月に食品衛生法等の一部を改正する法律が公布されております。

厚生労働省「食品衛生法の改正について」リーフレットより

この中でも特に重要なのが②「HACCPに沿った衛生管理」でしょう。
HACCPによる衛生管理とは、各原料の受入から製造、製品の出荷までのすべての工程において、 食品の安全を脅かすハザード(食中毒菌など健康被害を起こす原因)が混入するリスクを作業工程の分析をすることで見つけ出し、その管理・記録するという手法のことです。

厚生労働省リーフレットより

HACCPに沿った衛生管理については法律上の義務事項ですので、必ず実施することが必要です。
罰則は明確に記載はされておりませんが、都道府県の条例によって定めて良いことになっておりますので、都道府県によっては罰則が設定される可能性もあります。
また保健所による定期的な立ち入り検査の実施や営業許可の更新時での確認は必ずされると予想しております。
(保健所による立ち入り検査や確認の際にHACCPが実施されていない場合は指導の対象となります。)

HACCPに沿った衛生管理の実施対象者は、食品の製造・加工・調理・販売などを行うすべての事業者です。
HACCPへの対応は2021年6月より完全義務化となっております。

景品表示法

景品表示法では消費者が不利益を被ることを防ぐため、不当な表示や過大な景品類の提供を禁止しています。
不当な表示とは、産地偽装や過大包装、おとり広告などが例として挙げられます。
また過大な景品類の提供の禁止では、福引などの懸賞の景品総額や最高額が決められていたり、「来店者全員にプレゼント」などといった取り組みの際のプレゼント金額の上限が決められています。

消費者庁 よくわかる景品表示法と公正競争規約より

景品表示法では違反があった場合、課徴金の納付を命じられる場合があります。
課徴金は、違反にかかる売り上げの3%ととされています。

消費者庁 よくわかる景品表示法と公正競争規約より

米トレーサビリティ法

米トレーサビリティ法では、お米、米加工品に問題が発生した際に流通ルートを速やかに特定するため、生産から販売・提供までの各段階を通じ、取引等の記録の作成・保存を行うことが定められています。
また、お米の産地情報を取引先や消費者に示す必要があります。

農林水産省HPより

対象者は、対象品目となるお米・お米加工品の販売、輸入、加工、製造又は提供の事業を行うすべての方(生産者を含む)となります。
違反した場合は50万円以下の罰金に処せられる場合がありますのでこちらもご対応ください。

弊所では、これら法律に沿った表示作成の代行や確認、指導や実務担当者への研修・教育等も行っております。
(HACCPに関しては、相談業務のみ行っております。)
お気軽にご相談ください。