こんにちは!
社会保険労務士の渋谷です。

今日は労働法や社会保険制度とは少し離れた話題でお話しようかと思います。

私は社会保険労務士になる前は十数年間食品の開発に携わってきました。
実は食品を開発する上でも守らなければならないルール、知っておかなければいけない法律というのが本当にたくさんございます。
ルールや法律に精通していなければならないという点においては、少し社労士の仕事とも通づるところがあるかも!?しれません。

そこで本日は、その中より「賞味期限を設定するためのルール」についてお話ししていきます!

賞味期限って感覚で決めていい?

答えはもちろん「NO」。

賞味期限はお客様の健康にも影響をする、超重要な項目です。
ですので、設定をする際にはその方の経験・感覚のような主観的な判断ではなく、客観的な判断というものが求められます。

客観的な判断って?

例えば私たちが晩御飯を自分で料理をし、それが余った際、それをいつまでに食べるかについては、食べてみた感覚で判断したりしますよね。

ちょっと悪くなってきたかも。
味が落ちてきたな。
なんか固くなった。

このような感想を食べながら持ち、もう食べられないな、と判断していくかと思います。

賞味期限を設定する際にも同じように考えていくのですが、大事なのはそれを「主観的」に判断するのではなく「客観的」に判断すること。
そのために「ちょっと悪くなってきたとか」、「味が落ちてきた」っということを分析や検査によって数値化してやる。
この数値を見て判断するということが「客観的」な判断となるんです。

ではこの「数値化」をするための分析や検査ってどんなものがあるのでしょうか?

客観的な判断のための分析・検査方法

微生物検査

例えば「そろそろ腐ってきたかも」、これは微生物が増殖することが原因で起こります。
ですので、微生物がどのくらいの期間でどの程度増えるのかを分析することで、その商品が何日ほどもつものなのかを判断することが可能となります。

検査する項目は基本は「一般生菌数」「大腸菌群」の2種類です。
食品によっては法令によってこの基準が決められたりしています。
例えば洋生菓子だと「一般生菌数は10万個/g以下、大腸菌群は陰性であること」という基準が設けられています。
基準が設けられていない食品においても、以下の表を目安に判断するということになっております。

財団法人 日本食品分析センター資料より

なお、分析方法ですが、外部の分析機関に出すのが良いかと思います。
費用は少しかかりますが、例えば類似品を新しく製造した場合はこの検査結果を参考に賞味期限を設定することも可能となります。
今後の商品の賞味期限設定の目安にもなりますので、一度分析に出してみることをお勧めいたします。

官能検査

上記の微生物検査では問題になるほどの菌の増殖が見られなかった場合(腐っていなかった場合)でも、食べてみると風味が飛んでいたり、湿気ってしまっていたり等で販売できない、という場合も多いかと思います。
そこで微生物検査とあわせて検査すべきなのがこの「官能検査」になります。

官能検査とは、人間の感覚(視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚)を用いてその商品の品質を判定していく検査となっております。
例えば4週間程度の賞味期限にしたい場合は4週間+αの期間を設定し、その期間に一定の頻度で(例えば1週間おきに)その商品の「色」や「風味」「香り」「食感」などを確認していきます。
この際、その結果に点数をつけていき数値化していくことで主観的とも思われる官能検査の結果を客観的な判断として認めることができます。
点数のつけ方の例としては以下の通りです。

財団法人 日本食品分析センター資料より

例えば「1つの項目で3点以下のものが出た場合は、それ以上の期間はもたないと判断する」、のようなルールを決めておくとよいかと思います。
ちなみに官能検査は、外部に出さずとも自分たちでも検査ができますのでぜひ実施してみてください。

理化学検査

理化学検査とは、物理的、あるいは化学的な検査のことを指します。
例えば「湿気っている」というのは含まれる水分の値が高くなっているから、「日持ちしない」のは水分活性の値が高いことが原因です。
水分値の測定や水分活性値の測定等は理化学検査に含まれます。

理化学検査の内容は多岐にわたりますが、これらの検査をすることで、微生物ではなく「化学変化」や「物理的変化」による食品の劣化を数値化することができます。

ちなみに食品によってはこれらの理化学検査の値が基準で決められているものもありますのでご注意ください。
これらの分析も基本は外部の分析機関に出すのが良いかと思います。

本日は賞味期限の設定に重要となる「客観的な判断」についてのお話をさせていただきました。
次回は実際に賞味期限を設定するための手順等についてご説明させていただきたく思っておりますのでぜひチェックしてくださいね。

弊所では労働に関する相談、各種手続き、就業規則の作成、助成金の申請代行等社会保険労務士業のみならず、主に食品業界の方へ商品開発の基本や表示作成手順、HACCAPへの対応等のアドバイス等も行っております。
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