こんにちは!
富山市で社会保険労務士をしております、渋谷と申します。

現在は社会保険労務士をしておりますが、以前は十数年にわたり食品(主に菓子)の商品開発の仕事をしておりました。

食品業界のみなさま、みなさまは商品の包材を選定する際にどんなことを考えていらっしゃいますでしょうか。

「見た目を重視します!」
「いやいや、コストでしょ!」
「一歩進んで機能性!」

いろいろありますよね。
では「食品を保護するための必要特性」については考えたことがあるでしょうか。
実はこの「必要特性」こそ、すごく重要な検討項目の1つと言えるのです。

包材とは「内容物を保護するもの」

包材の働きというのは、様々なものが挙げられます。
取り扱いを便利にする働き(持ち運びやすい、並べやすいなど)、情報を提供する働き(パッケージには原材料の情報や商品説明などいろいろなことを載せていますよね!)などなど・・・
その中の1つに「内容物を保護する働き」というものもあるかと思います。

商品は裸にしておくと、たくさんの危害が加えられる可能性が高くなります。
例えば物理的危害。
衝撃や熱、湿気などが例ですよね。
または化学的危害。
例えば酸化や紫外線など。
もしくは菌といった生物的危害から人為的危害といったものも挙げられるかと思います。
これらの危害から守るためにも包材というのは必要となってくるわけです。

商品が必要とする特性とは?

上記に挙げた危害ですが、商品によって、考慮すべき危害は様々です。

例えばクッキー。
クッキーは他のお菓子に比べて賞味期限が長かったりしますよね?
これって水分値が少ないために菌が増殖しにくいからなんです。
ですので水分が高くなると菌が増殖する危険が出てきますし、なにより水分が高くなると食感が柔らかくなってしまいます。(いわゆる湿気っているというやつです!)
水分が高くなると、商品価値もなくなりますし、困ってしまいますよね。
ということで、クッキーには湿気を通しにくい包材が必要となるわけです。
つまり、防湿性が高いという特性が必要となってきます。

または抹茶入りのスポンジ菓子。
こちらは水分値が高いため、菌の増殖が懸念されます。
菌の増殖を抑えるために、一般的には「脱酸素剤」という、菌の増殖に必要な酸素を吸着してくれる品質保持剤を商品と一緒に同封するのですが、この脱酸素剤を使用するためには酸素を通しにくい包材が必要となってきます。(これをガスバリア性の高いフィルムと言ったりします)
また、抹茶は天然のもののため紫外線に弱く、紫外線を受けると色がはげてしまいます。
ですので、紫外線に強い包材も必要となってきます。
つまり、ガスバリア性や遮光性が高い特性が必要となるわけです。

材質の特徴を把握しよう!

プラスチックフィルムは、材質によってその特徴は様々です。

例えばCPP(無延伸ポリプロピレン)
こちらは防湿性、透明性、腰の強さに優れていますが、酸素ガス、二酸化炭素などの無機ガスはよく透過させます。

KOP(ポリ塩化ビニリデンコートOPP)はガスバリアー性、防湿性、保香性などが優れたフィルムとなっています。

VPET、KPET(ポリエステル、Kコートポリエステル)は強靭さ、耐熱(150℃)、耐寒性(-70℃)、香気保存性に特徴があり、油、酸には強いが、苛性ソーダやアンモニアなどのアルカリには劣化するといわれています。
またガス遮断性、保湿性、耐衝撃性は良いとはいえません。

このように、材質ごとに特徴が違うため、材質を無視して外観やコストだけで包材を決めてしまうのは少々乱暴のように感じます。
まずは先ほど説明したように、その商品がどんな特性を必要としているのかをまず考え、そしてその特性とマッチした材質を選択することが大切と考えます。

いかがでしたでしょうか?
今後食品の包材を検討される際は、ぜひ今回のお話を思い出していただけると幸いです。

弊所では労働に関する相談、各種手続き、就業規則の作成、助成金の申請代行等社会保険労務士業のみならず、主に食品業界の方へ商品開発の基本や表示作成手順、HACCAPへの対応等のアドバイス等も行っております。
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