こんにちは。
北陸、富山の社会保険労務士×食品コンサルタントの渋谷恵美です。

食品衛生法の大改正。
その目玉の1つともいえるのが「HACCPに沿った衛生管理の実施の義務化」。
現在は移行期間中ですが、来月からは移行期間も終了し、完全施行となります!
皆さんは準備の方は整っていますでしょうか?

「HACCPに沿った衛生管理」ですが、実は2つのタイプが存在しています。
1つは、大規模事業者やと畜場、食鳥処理場が対象となる「HACCPに基づく衛生管理」。
つまりこちらのタイプに該当する事業所では本来の管理方法の実施が求められます。
そしてもう1つが、いわゆる小規模な営業者等が対象となる「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」。
こちらは簡略化された方法での対応となります。

今回は、多くの事業所様が対象となる「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」の実際の運用方法についてご説明いたします!

HACCPの考え方を取り入れた衛生管理とは?

HACCP の考え方を取り入れた衛生管理とは、計画や記録により、衛生管理を「見える化」することです。
これにより、今まで以上に、食中毒の予防のための衛生管理に取り組むことができ、消費者の皆様方にも自社の衛生管理、品質に自信をもって応対ができるようになることが期待されています。

具体的には何をすればいいの?

今回は飲食店を例に挙げて説明をしてみます!

衛生管理計画の策定

①どの食品についても行うべき、 一般的な衛生管理のポイントと
②食品の製造方法に合わせて行うべき、そのメニューごとの重要管理のポイント  
この2つについてまずは計画を立ててみましょう!

① 一般的衛生管理のポイント

一般的衛生管理のポイント(どの食品についても行うべき共通事項)として、 次の項目ごとにどのような対応をしていくかを検討し、記載していきます。

① 原材料の受入の確認
② 冷蔵・冷凍庫の温度の確認
③-1 交差汚染・二次汚染の防止
③-2 器具等の洗浄・消毒・殺菌
③-3 トイレの洗浄・消毒
④-1 従業員の健康管理・衛生的 作業着の着用など
④-2 衛生的な手洗いの実施

これらの項目について、「なぜ管理が必要なのか」を理解し、「いつ」、 「どのように」管理し、「問題があったときはどうするか」の対応を考えて記載してみてください。

公益社団法人日本食品衛生協会
「 HACCPの考え方を取り入れた衛生管理のための手引書 (小規模な一般飲食店事業者向け )」より

②重要管理のポイント

自社のメニューを次のグループに分類します。

第 1 グループ:非加熱のもの(冷蔵品を冷たいまま提供)
第 2 グループ:加熱するもの(冷蔵品を加熱し、温かいまま提供)※加熱した後、高温保管を含む
第 3 グループ:加熱後冷却し再加熱するもの、または、加熱後冷却するもの

分類したら、それぞれのメニューごとに品質に問題がないかを確認するためのチェック方法を決めていきます。

公益社団法人日本食品衛生協会
「 HACCPの考え方を取り入れた衛生管理のための手引書 (小規模な一般飲食店事業者向け )」より

計画に基づく実施

上で決めた計画に従って、日々の衛生管理を確実に行っていきます。
実施する手順を記載した手順書を作成すると良いです。
下に例を載せてみますのでご参考にしてください。

公益社団法人日本食品衛生協会
「 HACCPの考え方を取り入れた衛生管理のための手引書 (小規模な一般飲食店事業者向け )」より

確認・記録

1日の最後に実施の結果を記録します。
また、問題があった場合にはその内容を記録用紙に書き留めておきます。

公益社団法人日本食品衛生協会
「 HACCPの考え方を取り入れた衛生管理のための手引書 (小規模な一般飲食店事業者向け )」より

基本的にはこの流れがしっかりとできており、記録をしていければ問題はないです。
まずは、計画の策定から進めてみてはいかがでしょうか?
あと1ヶ月、まだ間に合います!

次回からは今回の内容を数回に分けて、もう少し詳しくご説明していきたいと思います。

弊所では労働に関する相談のほか、HACCPへの取り組みや食品表示の作成においての相談等も受け付けております。
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