みなさん、こんにちは!

北陸、富山に住む社会保険労務士、渋谷恵美です。
特に助成金を活用した従業員への育児と仕事との両立支援をサポートするための企業づくり、従業員が成長する環境づくりのお手伝いを得意としております。

今回は「離婚時の年金分割」についての話をしてみたいと思います。

離婚時の年金分割って?年金って分割できるの??

そうなんです。
実は離婚の際に手続きをすると、婚姻期間中の納付記録等が基となっている年金部分を分割することができるんです!
この話、分割する方も、分割される方も絶対に知っておいた方が良いんですよ。

それでは詳しく見ていきましょう。

離婚時の年金分割って一体どんな制度なの?

年金分割制度をもう少し詳しく言うと、「離婚する夫婦が婚姻期間中厚生年金の保険料納付記録等を分割して、 それぞれ自分の年金とすることができる」というものになります。

「婚姻期間中」「厚生年金」この2つがポイントですよ!

「婚姻期間中」とは?

離婚の際、お互いの年金がすべて分割できるわけではありません。
分割できるのは、結婚から離婚の間の社会保険料を支払った期間が基となる年金部分となります。
例えば、結婚してすぐに離婚した場合などは、婚姻期間がないため、離婚したとしても年金は分割できません。

「厚生年金」とは?

年金には「国民年金」と「厚生年金」の2種類あります。
将来はこの国民年金と厚生年金の合計額があわせて支給されることとなります。
国民年金は原則、20歳から60歳の国民はすべて加入する義務があります。
一方厚生年金は、会社員や公務員の方が加入する年金で、例えば専業主婦や個人事業主などは加入することができません。
年金分割の対象となるのは、後の「厚生年金」の部分のみ。
例えば以下の場合は、個人事業主とその家族従事者となるため、原則厚生年金に加入できません。
婚姻期間があったとしても年金は分割できないということになります。

つまり、上記をまとめると以下のようなイメージとなります。

年金分割には2種類ある!

それではどのように分割するのかを見ていきましょう。
その前に、65歳からもらえる厚生年金額の計算方法について少し触れていきます。

厚生年金額を計算する際には、ざっくり言うと

月々の給与額

が、カギとなってきます。

というのは、年金額の計算は、ボーナスを加味した月々の給与相当額の平均に
乗率や加入月数を掛けて計算するんです。
でも奥さんの方って、育児や家事をこなすために平均給与が低くなりがち。
奥さんの支えがあって旦那さんの給与は高くなるのに、離婚して旦那さんだけ高い年金額がもらえるようになるなんて・・・

だったら、ここの月々の給与額等の記録を分割しましょう。

これが年金分割制度のざっくりとした流れなんです。

それでは本題です。
年金分割は以下の2種類の方法があります。

3号分割制度

これは一方が専業主婦(主夫)であったり社会保険の扶養に入っていた場合に認められる制度です。
相手方の保険料納付記録(月収相当額等)を1/2ずつ分割することができます。

ちなみに、1/2の分割が認められるのは、
平成20年4月1日以後の専業主婦(主夫)、あるいは扶養だった期間に限られます。
それ以前の期間は次の「合意分割」の対象となりますのでお気を付け下さい。

合意分割制度

相手方の保険料納付記録(月収相当額等)を 2人の間での合意や裁判手続きにより定めた割合で分割することができる制度です。

ただし、この割合には上限が決まっています。
例えば旦那さんが分割する側、奥さんが分割を受ける側だったとした場合、奥さんの分割後の納付記録の合計額が、分割前の総額の半分を超えてはならないということになっています。
分割する側がとられすぎないことへの配慮なのですね。

ちなみにどちらも離婚をした日の翌日から2年以内の請求でないと、原則分割は認められません。
十分にご注意くださいね。

よくあるQ&A

年金を受給開始後に離婚した場合はどうなるか?

この場合でも年金分割が可能です。
その際は年金分割のあった日以降の年金額が改定されることとなります。

年金分割は離婚時にさかのぼってされるのか?

年金分割はさかのぼってはされません。
あくまでも年金分割の申請後からの対応となりますので、特にすでに年金を受給中の場合はお気を付けください。
(まだ年金を受給していなければ、多少遅れての申請であっても、もらえる年金額に影響はないです。)
ただし、上述のように、原則請求期間は2年間ですので、余裕を持った手続きを。

もし、今後御社で働くパパママから離婚の話が出た場合、このような制度の話も1つの情報としてご提供されてはいかがでしょう?
つながりの薄くなりがちな昨今だからこそ、労働者との信頼関係は必要です。
情報提供を行うことで、不満なく手続きを終えられれば、会社とお相手の労働者との関係性もよりよくなるかもしれません。
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