商品開発をしていく上で、目標とする商品を設定することは重要だと思っています。
業界用語では「ベンチマーク商品」とも言ったりします。
例えばカフェを経営していらっしゃれば、他のカフェで人気のメニュー、
クッキーを売りたいのであれば、クッキー市場で1番売れている商品など・・・
自分が「これだ!」と思う商品にロックオンし、自分の商品と徹底的に比較していくのです。

なぜベンチマーク商品を作ることが大切なのか?

私は長年食品業界で商品開発を行ってきました。
自分で試作をし、味を決めていくこともしていましたが、自分が「こうしたい!」と思う味にすることってなかなか難しいものです。(そうではない方ももちろんいらっしゃるとは思いますが)
さらには、試作を何度も何度も繰り返していくと、何がよくて何がダメなのか、だんだんわからなくなってしまいます。
こういった場合に「比較する商品」があると効率は格段に上がります。
自分が作ったものと、ベンチマーク商品、どこが違うのか?
ベンチマーク商品の方は甘みがすっきりしているな、もっと塩気が強いな、と比較をしていくことで自分の商品に何が足りないのかということもより分かりやすくなります。
自分のイメージにだけ頼っても、そのイメージがぶれてしまうと作業もどんどんぶれていきます。
だから「ぶれないもの」を作ることって大切なんです。

それってマネなんじゃない?

ここまで聞くと、「マネしているだけだ!」「人が作ったアイディアを盗むようなことはしたくない!」という声も聞こえてきそうですよね。
要素の全部を近づけてしまうと、もちろんそれはただの「マネ」になってしまいます。
ベンチマーク商品を設定する目的はマネをすることではありません。
方向性を導き出し、ぶれずに進んでいくためのみちしるべにすることなのです。
ただのマネで終わらないためには、やはりベンチマーク商品の「分析」が重要となってきます。

ベンチマーク商品の分析によって得られるもの

ベンチマーク商品を設定したら、とにかく分析をします。
例えば先ほど挙げたカフェメニューであれば

・どうしてこの味が受け入れられているのか
・どの世代に受け入れられているのか
・価格はいくらか
・ボリュームはどうか
・どんなシーンで食べられるのか などなど・・・

おすすめなのは、その商品(メニュー)に限らず、似たような商品も分析してみることです。
例えば近くの他の店の同じメニュー、同じカテゴリーの他社の商品など。
このように分析を重ねていくと、ベンチマーク商品のどこが優れているか、どの部分が受け入れられているのかということもよくわかります。
その優れた部分はぜひ取り入れたいですよね。
そして、もっとこうだったらいいな、という改善点も見えてきます。
あるいは「自分の地元はこういう食材の方が好まれるな」のようなアレンジ点など。
ベンチマーク商品の優れている部分は取り入れ、さらにブラッシュアップさせていくことで、マネではないより優れたオリジナル商品へと近づいていくのです。

ベンチマーク商品は同じ業界からとは限らない

業界を飛び越えてベンチマーク商品を設定し成功している例は多々あります。
最近はある小売業界がホテルをベンチマークに設定し成功した例もメディアで取り上げられていました。
人気のあるホテルを分析し、人気の秘訣は「高級ホテルならではの手厚い接客」という点であると設定し、その手法を取り入れたというものでした。
視野を広くすればするほど成功の種も落ちているように思います。

「知的財産権」には十分ご注意ください

ベンチマーク商品の重要性について今までお話してきましたが、中途半端に進んでしまうとやはりただのマネになってしまい「知的財産権」を犯してしまう危険性が出てきます。
またデザイン業界など一定の業界においてはその危険がより大きくなり得ます。
十分にご注意いただければと思います。