新型コロナウイルス感染症関連の目玉対策の1つである「雇用調整助成金」。
しかし、度重なる変更で事業主のみなさまも大変混乱していらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は、5月25日現在の最新の内容をまとめてみました。
「今まで聞いたのと違う!」という点も多く出てきますので、ぜひご確認ください。
そもそも「雇用調整助成金]ってどんな制度?
事業活動の縮小を余儀なくされ、従業員の休業等を行わざるを得なくなった事業主に対し、その事業主が支払った休業手当等の一部を助成する制度です。
雇用調整助成金の制度自体は元々あったものですが、今回の新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受けて、休業等の理由が「新型コロナウイルス感染症によるもの」である場合は特例措置として、助成をより多く受けられたり受給要件の緩和が図られています。
今回はこの特例措置の方のお話をしていきたいと思います。
どんな人がもらえるの?
対象は個人ではなく、事業主です!
以下に該当することが必要です。
①新型コロナウイスる感染症の影響により、従業員を休業させたり教育訓練を行っている
②売上高や生産量などの値が5%以上減少している
(休業期間の初日が4月1日より前の場合は、10%以上減少していることが必要です。
③休業の実施日の延べ日数が1/40以上ある(大企業は1/30以上)
→例)対象となる従業員が30人、所定労働日数が20日、2人が5日間休業した場合
休業延べ日数・・・2人×5日間=10日
本来の労働延べ日数・・・30人×20日=600日
10日/600日=1/60<1/40
つまりこの場合は受給はできません。
④休業手当として、平均賃金の6割以上を支払っている。
どんな助成が受けられるの?
休業手当に相当する額(※)の4/5(大企業は2/3)が助成されます。
また、解雇等を行なかった場合は9/10(大企業は3/4)と助成率は上がります。
この時平均賃金の60%を超える支払い率で休業手当を支給した場合、60%を超える部分にかかる助成率は10/10となります。
さらに、都道府県知事の要請によりそれに協力して休業や営業時間の短縮を行った場合は100%の助成となります!
ただし1人1日当たりの助成上限額は8,330円でので、ご注意ください。
※休業手当に相当する額は①~③のいずれかの方法を選択します。
①前年度の雇用保険料の算定基礎となる賃金賃額を前年度の1か月平均の雇用保険被保険者数と年間所定労働日で割った額に、休業手当の支払い率をかけた額
②休業をした期間の初日が含む年度、または前年度の任意の月に提出した「給与所得・退職等の所得税徴収高計算書」の支給額を人員・月間所定労働日数で割った額に、休業手当の支払い率をかけた額
③従業員がおおむね20人以下の場合は、実際に支払う休業手当の総額
いつの期間が対象なの?
特例期間は4月1日から6月30日までです。
ただし、この期間外であっても雇用調整助成金は受給可能です。
(要件の緩和や助成率の拡大を受けられなく可能性がありますが、その辺りは今後の発表を待ちたいと思います。)
また、基本的に、雇用調整助成金の申請は「判定基礎期間」ごとに行います。
判定基礎期間というのは、原則毎月の賃金の締め切り日の翌日から次の締め切り日までの期間を指します。
複数の判定基礎期間分の申請を同時にすることもできるようですが、申請書の作成は毎月の判定基礎期間ごとに作成する必要があります。
手続きの流れ
①まずは休業計画を立てて、労使協定を結びましょう。
どのように休業を進めていくか(誰をいつ休ませるか、休業手当はいくら支払うか等)を決めることは、今後の経営を行っていく上でも重要となってきます。
②休業を実施し、休業手当を支給しましょう。
③支給申請を行いましょう。
申請には申請書類(様式5種)と確認書類(売上簿や賃金台帳等)が必要です。
(従業員がおおむね20人以下の場合はさらに申請書の簡素化がなされています。)
特に確認書類においては休業を行う前にどのようなものが必要となるかチェックし、記載に不備がないように心がけておきましょう。
④労働局の審査、支給
申請の際の注意点
・申請期限は支給対象期間の最終日の翌日から起算して2か月以内です。
ただし、申請対象期間の初日が1/24~5/31までの申請期限は、特例により令和2年8月31日までとなります。
・提出した書類は支給決定された時から5年間保存が必要です。
その他ご不明な点等ございましたら、当事務所、又はお近くの社会保険労務士事務所までお問い合わせください。