食品業界、飲食業界、小売業界、ホテル業界など・・・
食品は多くの業界で扱われます。
だからこそ、今から独立・起業したいと考えている方で食品を取り扱う可能性がある方、またはすでに食品を取り扱っている方にも改めて「食物アレルギー」の話を知っておいてほしいのです。
食物アレルギーについての正しい知識がないとどうなるか。
最悪、お客さんを死に至らしめることになります。
そうならないためにも、十分な知識を持ち、細心の注意を払っていかなければならないのです。
食物アレルギーって何?メカニズムは?
食物アレルギーとは「特定の食物を摂取したときに、身体がその食物を異物として認識してしまい、自分の身体を防御するために過敏な反応を起こしてしまうこと」を言います。
私たちが普段何かを食べた時、その食べたものが消化されて吸収されても通常は何も反応はしません。
しかし人によっては、ある特定の食べ物を食べ、体へと吸収された際に、その食べ物を「害があるもの」とみなして排除しようという働きが起こります。
それによって多くの症状を起こしてしまうのです。
アレルギーの原因となる物質を「アレルゲン」と言いますが、アレルゲンが体内に入るとそれをやっつけるために「抗体」というものを作り出します。
そして次の機会にまたこのアレルゲンが体に侵入すると、抗体を結合した肥満細胞が出撃し、アレルゲンを捕まえます。
このアレルゲンを捕まえた際に肥満細胞から、ヒスタミンといわれるような化学伝達物質が放出されるのですが、この物質が神経を刺激し、それによってぜんそくやアレルギー性鼻炎など、様々なアレルギー症状が引き起こされてしまうのです。
以上が食物アレルギーが起こるメカニズムです。
気を付けなければならないのは、体内に入るアレルゲンの量が少しであればよいというわけではないという点です。
アレルゲンが体内に入ると、必ずこの抗体は出撃し反応を起こします。
つまり、アレルギー体質の方にとっては体内に入るアレルゲンの量が微量だったとしても生死にかかわってしまうのです。
だからこそ、食品を取り扱う際には、その管理を徹底しなければならないのです。
主な食物アレルギーって?
日本で食物アレルギーの症例数の多いもの、あるいは重篤となりやすいものとして、以下の食品が「特定原材料」として指定されています。
特定原材料7品目
・・・卵、乳、小麦、そば、落花生、えび、かに
また、「特定原材料に準ずるもの」として、以下の食品も指定されています。
特定原材料に準ずるもの 推奨21品目
・・・アーモンド、あわび、いか、いくら、オレンジ、キウイフルーツ、牛肉、くるみ、さけ、さば、
大豆、鶏肉、豚肉、まつたけ、桃、やまいも、りんご、ゼラチン、バナナ、ごま、カシューナッツ
食品を取り扱う事業所の義務
食品表示法上での義務
容器包装される加工食品には、「アレルギー物質が含まれている場合には、その表示をしなければならない」ということが法律で決められています。
必ず含むことを表示しなければならない食品は、上で挙げた「特定原材料7品目」です。
また、義務ではないですが、「特定原材料に準ずるもの 推奨21品目」においても表示することが望ましいとされています。
これらの表示は食品表示法に則ったものであることが必要となります。
その他考えられる義務
例えば容器包装ではない、あるいは容器包装しているけれど法律上では免除対象となっている、という場合でも、その商品にどのようなアレルギーが含まれるかを把握しておくことは大切です。
その際、使っている原料の詳細な内容にも注意が必要です。
例えば私自身の経験を言えば、「生クリームの代用品」と紹介された原料に卵が含まれていたことがありました。
それを把握せずにいると、原料として「卵」そのものを使っていなかった場合、「この商品には卵は含まれない!」と思い込んでしまう危険があります。
また、特に上で挙げた食物アレルギーを含む商品と調理道具や製造場所を同じくする際には、道具の洗浄を徹底する、道具を変えるなどの対策も必要です。
(表示上では「含まれない」とされているものが何かの拍子に混入してしまうと大変なことになってしまいます)
情報共有や教育の徹底
食物アレルギーの管理を行うにあたって、従業員の方々との情報共有は大変重要となってきます。
従業員の数が多くなればなるほど、その重要性も高まってきます。
食物アレルギーについて、経営者や管理職の方だけが把握していても、実際に作業をする現場の方が理解していなければ意味がありません。
ですので、上から下、下から上の情報共有・報告・連絡の徹底は必須です。
また、どんなに情報共有などの徹底を行っていても、1人1人がアレルギーに対する理解がないと、結果大事故へとつながってしまいます。
アレルギーとは何か、混入するとどんな問題が起こるのか、だから何をしなければならないのか、教育の徹底も必要となります。
信用が成長へとつながる
50年前はアレルギー患者はほぼいないと言われていた日本でも、現在は3人に1人が何かしらのアレルギーを持っているそうです。
だからこそ、アレルギーは軽視されるべきではありません。
食物アレルギーに関するミスは、最悪死を招く重大なミスとなるのです。
また、アレルギーを持っている方々は、表示されている内容や情報を信じ、購入しています。
表示している内容が違っていたり、本来入っていない食品が混入していたりし、それによって事故が起こったしまった場合、今まで養われてきた信用はすぐに崩れ去ってしまいます。
逆にアレルギー管理を徹底していくことが、さらなる信用を産み、支持してくれるファンも増えていくのではないでしょうか。
ぜひ食物アレルギーについて、知っておいていただけると幸いです。