商品開発をする上で大切なこと、たくさんあります。

例えば
・ターゲットがどのようにその商品を使うのかを把握する
・ターゲットの声を聞く
・商品に妥協をしない   などなど

そして、それを達成するためには、自分の意見をしっかり言えるということも大切です。
若いころなんて、上司や先輩になかなかモノを言えなかったりもしますが、それでも開発者としての意見があるのならばしっかりと伝える。
開発者が「もっとこうした方が売れるんじゃないかな・・・」と感じているような商品って、本当に売れるんでしょうか?
自分の商品に自信を持つ、これって大事ですよね。

今回は、実際に私が失敗してしまった事例を2つお話ししたいと思います。
何かの参考にしていただければ幸いです!

ターゲットの使い方を予想して失敗。実際の声を聞かないのは✕!

ある時、子供向けのお菓子の商品開発を担当することになりました。
お母さんが子供と一緒におやつを楽しみながら勉強できるようにと、お菓子の形を工夫。
生地の味は当時流行っていた他社のビスケットを参考に、ごまのきいたものにし、それなりにおいしいものができました。
他社よりもボリュームを多くし、価格も下げてリーズナブルに。
いざ、発売!

・・・びっくりするくらい、売れない。
即終売検討商品の仲間入りとなりました。

何がダメだったのか、実際にママになった今だからこそ痛いほどわかります。
まず、味ですが、大人に売れていた味に近づけてしまったのがダメ。
確かに大人にはおいしく感じますが、子どもはどうでしょう?
買うのはお母さんですが、食べるのは子供です。
大人と子供は味覚が違います。
おそらくもう少し甘くして、食感も多少柔らかくした方が良かったなと感じています。

また、生地の形もダメ。
詳しくは言えませんが、勉強できるようにとした生地の形、今思えばそれが理解できるのはおそらく小学生の高学年。
でも私たちが思う「子供」って、もっと小さいところだったんです。
その時点でもう大きくずれてますよね。

なんでこんなことが起こったのか?
実はその当時の開発担当者。
1人も小さい子を持つ親がいなかったのです。
そう、すべては想像で企画してしまっていたのです!
こんなの、うまくいくはずがありません。
実際のターゲット層を分析する際は、必ず生の声を聞く。
当たり前のことですが、この経験によって痛いほど理解しました。

なかなか言い出せなくて失敗。開発担当者は「自分が責任者」という意識を忘れずに!

ある時、自分の企画した商品が初めて工場で大量に生産されるということで、その立ち合いを行いました。
実際に機械で大量に混合し、大きなオーブンで次々に焼かれて出てくる・・・
そして味見。

「・・・あれ、なんか思ったよりもしょっぱい?」
現場では何度も試作をし、配合率や掛け率等も綿密に設定し、当日を迎えておりました。
なのに、何か味が違う・・・?

そう思ったのですが、おいしくないわけでもない。
そして何より、オーブンから出て味見をした時点で大量の生地が混合され、成形され、オーブンにも入っている。
今止めてしまったら、すべてが台無しになってしまう。
その気持ちが大きく、なかなか言い出せずにいました。

ですが、しばらくしてやっぱり気になってたまらなくなり、工場の担当者の方に報告。
そしてすぐに生産ストップ。
その際にはすぐに報告をしなかったことをもちろん叱責されました。

部署に戻ってから、当時の上司に始末書を出すように言われ、そのために無駄となったコストを計算。
原料費、人件費、包材費・・・いろんなコストがかさみ、「あぁ、私が言うのを遅らせてしまったことで、こんなにもコストかさんでいってしまったのだな」ということがわかり、泣きながら始末書を書いたのを覚えています。

その当時の上司に言われたことが以下の言葉。
「始末書は、お前を責めるために書かせたのではない。自分で計算したら、いろんな人がお前のために動いてくれているのがわかっただろう?年下でも、携わってくれている方にとっては責任者に変わりはない。そして、その商品のことを誰よりもわかっているのもお前しかいない。言い出さなかったら納得いかない商品がお客様に届いてしまう。それで売れなくなってしまったら、頑張ってくれた周りの人たちに余計に失礼だろう?」

すごく胸に突き刺さりました。
開発者にとって、妥協は禁物。
そして、自分の商品にはたくさんの人が関わっていてくれることを忘れずに、自分の行動にも責任を持つこと。
大切ですよね。

人の失敗は自分の成功のもと!

失敗をすることは、私はいいことだと思っています。
ただ、そこから必ず何かを学び、同じ失敗を繰り返さないということが大切です。
そして、他人の失敗も重要な情報。
自分が機会がなかった失敗をしてくれ、そこから学びを与えてくれる。
ありがたいですよね。
ぜひ、今回のお話も皆さんの何かのお役へと立たせていただければ幸いです!