起業•開業後、いずれは「初めて人を雇う瞬間」が訪れることになるかと思います。
事業が軌道に乗ってきた時、あるいは起業の際にある程度の人員が必要だというケースもありますよね。

人を雇う際には、実は気をつけなければならない注意点がたくさんあります。
本日はその中でも「従業員に残業をさせる時」における注意点についてお話ししたいと思います。

残業は法律違反!

これって結構衝撃ですよね。
私も十何年会社員をしてきましたが、正直残業なんて当たり前でした。
ですが、法律上では「1日8時間、1週間に40時間を超えて労働させてはならない」とされています。

じゃあなぜ私たちは残業しても何も言われなかったのか?
それはおそらく、会社が「36協定」を締結していたからだと思います!

36協定って何?

36協定とは正式には「時間外・休日労働に関する協定届」といいます。
実は労働基準法の第36条には「労働者の代表者等と使用者が書面による協定を結び、行政官庁に届け出れば、会社は労働時間を延長させたり休日に労働させることができる」と書かれています。
つまり残業をさせるなら、労働者と協定を結んで国に届け出をして初めて許されるということになるのです。
ちなみにこの規定が第36条に書かれているため、通称36協定と言われています。

36協定では何を決めたらいいの?

以下のことを決める必要があります。

○時間外、休日労働させる労働者の範囲(誰を対象とするのか)
○対象期間(1年間となります)
○労働時間を延長したり休日に労働させることができる場合
(「繁忙」のような抽象的な理由ではなく、「臨時の受注」や「納期変更」など具体的に)
○協定の有効期間
○1日、1ヶ月、1年のそれぞれの期間について労働させることができる時間
○起算日
○時間外、休日労働が単月100時間、2〜6ヶ月平均で80時間を超えないこと

などです。
この内容をもとに協定届を作成し、行政官庁に届出を行います。
ちなみに書式は特に決まりはないようですが、必要事項が網羅されていないと届出が無効となる場合もあるため、国が用意している書式をお使いになられる方が良いかと思います。
(厚生労働省のHPよりダウンロード可能です。)

届け出たらもう残業はOK?

届け出ることで、残業させること自体は例外的に認められ、罰則の対象からも免れることになりますが、それだけでは足りません。

例えば、残業をさせた場合は一定以上の割増賃金を支払わなければなりません。
1日に8時間を超えて働く場合は25%以上、深夜労働の場合は25%以上、休日労働の場合は35%以上といったように、割増賃金においても法律で定められておりますのでご注意ください。

また、残業を命じる根拠として就業規則等にその定めをしておくことも重要です。

36協定の提出日にはご注意を!

36協定を届け出て初めて残業をさせることが例外的に認められるのですが、届け出の効力は前に遡っては影響しません。
ですので、極論ですが例えば3日後に届出を出す予定だからといって、その3日間においても残業をさせたとしたら、それは違法行為となるというわけです。
ですので、前もって届け出ておくことが大切です。
特に2回目以降の届出の場合、今までの協定の有効期限が切れた後に次の協定を届け出ることがないようお気をつけください!