こんにちわ。
北陸、富山の社会保険労務士×食品コンサルタントの渋谷恵美です。

起業・独立開業し、軌道に乗ってきた際に考えるのが「従業員の雇用」。
飲食店等では初めから雇用を考えている場合もありますよね!
ですが、初めて人を雇う際って、どうしたらよいのでしょう?
何かすべきことはあるのでしょうか⁉

実は、人を雇った際には労働局基準監督署やハローワークなどへの各種の届け出が必要になります!
今回はこの「必要な手続き」のうち「労働保険の手続き」についてご紹介したいと思います。

そもそも労働保険って?

労働保険とは「労災保険(労働者災害補償保険)」と「雇用保険」を総称した言葉です。
従業員を1人でも雇うと、労働保険の「適用事業」となり、事業所は「労働保険の成立手続」を行い保険料を納付する必要が出てきます。
これは、個人事業主でも同じです。

労災保険:従業員が業務上や通勤の際に事故に遭ったりそれが原因で病気になった際に、保険給付を行ってもらえます。

雇用保険:従業員が失業した際に失業手当(基本手当)を受け取ることができたり、資格取得の際に補助が受けられたりします。
また、雇用保険料を支払っている事業所は各種助成金の受給の可能性が広がります。

労災保険と雇用保険は別物なのですが、保険料の徴収に関しては併せて行われるため、私たちもこれらの保険料を納付する際はその合計額をまとめて支払うことになります。

労災保険関係の届け出

①保険関係成立届 

保険関係成立届には御社の情報(住所や企業名、業種、従業員数など)を記入していきます。
以下、記入例です。

厚生労働省「労働保険の成立手続はおすみですか」より

なお、一般的には初めて人を雇った日など雇用関係が成立した日の翌日より10日以内に届け出をすることが必要です。
届け出は所轄の労働基準監督署に行います。

② 概算保険料申告書

概算保険料申告書には御社の情報の他、御社が従業員を雇用してから次の3月31日までに支払う予定の給与見込み額と、その額から計算した保険料等を記入していきます。
※後述の雇用保険にも加入させる場合には、雇用保険の保険料の分も記入していきます。(建設業等で「二元適用事業」に該当する場合を除きます)
以下、記入例です。

厚生労働省「労働保険の成立手続はおすみですか」より

一般的には初めて人を雇った日など雇用関係が成立した日の翌日より50日以内に届け出をすることが必要です。
届け出は所轄の労働基準監督署、または所轄の都道府県労働局、金融機関や郵便局等に行います。
また、記入例下に領収済通知書というものがあるかと思いますが、これを労働局の徴収室や金融機関等に持っていき、記載分の保険料を支払う必要があります。
(労働保険料は前払いのため)

雇用保険関係の届け出

雇った従業員の方が
1)週20時間以上の勤務予定(所定の労働時間が20時間以上)
2)引き続き31日以上の雇用見込みがある

以上の要件に該当する場合は、さらに雇用保険関係の届け出も必要となります。

①雇用保険適用事業所設置届

雇用保険適用事業所設置届には御社の情報の他、上記の保険関係設立届を提出した際に振り出された番号等を記入します。
以下、記入例です。

厚生労働省「労働保険の成立手続はおすみですか」より

こちらは、一般的には初めて人を雇った日など雇用関係が成立した日の翌日より10日以内に届け出をすることが必要です。
届け出は所轄のハローワーク等に行います。

②雇用保険被保険者資格取得届

雇用保険被保険者資格取得届には雇用保険に加入すべき従業員の情報や契約内容等を記入します。
以下、記入例です。

厚生労働省「労働保険の成立手続はおすみですか」より

こちらは、一般的にはその方を雇った日毎に行います。
雇った日の翌日より10日以内に届け出をすることが必要です。
届け出は所轄のハローワーク等に行います。

以上が労働保険に関する手続きとなります。

もし手続きをしなかったら?

手続を行うべき事業所が手続きを行っていないことが判明した場合、最終的には政府の職権で成立手続や労働保険料の認定決定が行われます。
保険料の他、追徴金も徴収されてしまいます。
また、保険関係成立届が出ていない期間に労災が発生し、労災保険の給付が行われた場合には、労災給付に要した費用の全部、または一部が徴収されてしまいます。
ペナルティも大きいですし、速やかに手続きをされることをお勧めいたします。

弊所では、お手続きにまつわるご相談の他、お忙しい事業所様に代わってお手続きの代行もさせていただいております。
何かございましたら、いつでもお問い合わせください。