こんにちわ。
北陸、富山の社会保険労務士×食品コンサルタントの渋谷恵美です。
令和3年1月より「子の看護休暇、介護休暇の時間単位の取得」が義務化となりました。
その改正があったため、ここ最近「子の看護休暇、介護休暇」というフレーズを聞く機会も増えたように思います。
ですが、「そもそも子の看護休暇とか介護休暇って何なんだろう?」
そう思われている方も多いのではないでしょうか。
そこで本日はこの「子の看護休暇・介護休暇」について改めてお話ししてみたいと思います!
「子の看護休暇・介護休暇」とは?
子の看護休暇
子の看護休暇とは、労働者の子どもがけがをしたり病気になってしまい、その子どもの世話などを行わなければならなくなった際に、会社に申し出ることで取得できる休暇です。
子どもがけがや病気になっても休暇を取得しやすくし、子育てをしながら働き続けることができるようにするための権利として位置づけられています。
ちなみにここでいう「子ども」とは「小学校就学前」の子のことを指しています。
また、 実際に子どもがけがや病気になった以外にも、子どもに予防接種又は健康診断を受けさせる場合などでも利用ができます。
予防接種には、定期的に受けなければならないもの(例えば肺炎球菌や風疹など)だけでなく、インフルエンザ予防接種といった任意のもの含まれます。
また健康診断も同様で、任意の健康診断でも利用OKです。
介護休暇
介護休暇とは、要介護状態にある労働者の家族の介護や世話を行わなければならなくなった際に、会社に申し出ることで取得できる休暇です。
要介護状態にある家族の介護や世話のための休暇を取得しやすくし、介護をしながら働き続けることができるようにするための権利として位置づけられています。
ちなみにここでいう「家族」とは自分方の祖父母、両親、兄弟姉妹、子ども、孫、配偶者側の両親が含まれます。
また、要介護状態とは「2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態」にあることを言い、基準も定められております。
「子の看護休暇・介護休暇」って誰でも取得できるの?
原則、対象となるすべての労働者が取得できます。
例えば期間を定めて雇用されている労働者や、他に子どもや対象家族の世話をできる家族がいる労働者等についても、申し出が合った場合には休暇の取得を拒むことはできません。
(例えば奥さんが専業主婦、といった場合でも拒むことはできません。)
ただし、以下に該当する労働者の場合は取得を拒むことは可能とされています。
(②・③の場合は労使協定が必要です。)
① 日雇い労働者
②その事業主に継続して雇用された期間が6か月に満たない労働者
③1週間の所定労働日数が2日以下の労働者
「子の看護休暇・介護休暇」って何日取得できるの?
1年度において5日の取得が可能です。
ただし、子の看護休暇の場合は、小学校就学前の子どもが2人以上いる場合、
介護休暇の場合は、 世話をする対象家族が2人以上いる場合は、10日まで休暇を取得することが可能となります。
1日取得だけでなく「時間取得」も!
先にもお話をしましたが、「子の看護休暇・介護休暇」は1日単位だけでなく、時間単位でも取得できるようになりました。
ですので、申し出があった場合には、会社は時間単位での休暇取得をさせなければなりません。
ただし、 時間単位での子の看護休暇や介護休暇を取得をすることが困難と認められる業務に従事する労働者については、申し出があった場合でも時間単位の取得を拒むことが可能とされています。
(1日単位の休暇は取得させなければなりません。)
<時間単位での休暇を取得することが困難と認められる業務の例>
① 国際路線等に就航する航空機における客室乗務員等の業務で、
所定労働時間の途中まで、あるいは途中から休暇を取得させることが困難な業務
②長時間の移動を要する遠隔地で行う業務であって、時間単位の休暇を取得した後の
勤務時間又は取得する前の勤務時間では処理することが困難な業務
③流れ作業方式や交替制勤務による業務であって、時間単位での休暇を取得する者を
勤務体制に組み込むことによって業務を遂行することが困難な業務
なお、時間単位の取得を認めるというのは、「業務中に中抜けOKとするということを容認するように」というわけではありません。
求めらているのは、「始業の時刻から連続し、又は終業の時刻まで連続する時間単位の休暇」なのです。
つまり、就業時間の途中に抜けて再び戻ってくるような休暇の取得を意味してはいません。
ですが、より柔軟な両立制度を、ということで会社として中抜けを認めるとすることはもちろんOKです。
指針でも、そのようなより柔軟な配慮をしてほしいという旨が記載されています。
「子の看護休暇・介護休暇」は有給?無給?
子の看護休暇・介護休暇を取得している間の期間は有給としても無給としてもかまいません。
これは会社の判断にゆだねられています。
ただし、子の看護休暇や介護休暇を取得したことでその労働者を「不利益に取り扱う」ことは禁止されています。
例えば子の看護休暇を欠勤扱いとして、その期間を無給とするだけでなく、昇給や昇進、賞与や退職金のマイナス評価をするなどは認められません。
ですが、例えば賞与の額を「出勤日数に応じて算出している」としている場合で、子の看護休暇や介護休暇を取得した期間をカウントしないということは不利益な取り扱いとはならず、認められています。
大切なのは「実際の休暇日を超えてマイナスとしない」ということなのです。
先の賞与の例とすれば、例えば欠勤の場合は3日休んだこととして評価している場合で、子の看護休暇や介護休暇の取得日も同様のカウントをしてしまうと問題とされる場合は非常に高くなるわけです。
子の看護休暇・介護休暇といった1つの制度を見るだけでも実にたくさんの情報があることがわかっていただけると思います。
これらの制度を1つ1つご自身で調べるとなると大変多くの時間も取られてしまいます。
ぜひ、専門家を利用し効率よく制度のポイントを把握されるのはいかがでしょうか?
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