こんにちは。

北陸、富山の社会保険労務士×食品コンサルタントの渋谷恵美です。
特に従業員の両立支援をサポートするため企業づくりを得意としております。

今回はこんな質問にお答えします!

育児休業を取得できる従業員の範囲は?

育児介護休業法では、最低のラインとして以下に該当するすべての従業員に育児休業の取得を認めることとしています。

○日雇い労働者ではない
○有期雇用労働者(契約期間が定められている方)の場合は、
 →申出時点において同一の事業主に引き続き雇用された期間が1年以上あって、
  1年6か月(2歳までの休業の場合は2歳) を経過する日までに労働契約期間が満了し、
  更新されないことが明らかでない

また、労使協定を結んでいる場合は、以下の従業員を育休の対象外とすることもできます。
 →雇用された期間が1年未満 または
 →1年(1歳以降の休業の場合は、6か月)以内に雇用関係が終了する または
 →週の所定労働日数が2日以下の労働者

つまりこれを見ると、今回の質問の場合、その申し出をした従業員の方が有期雇用の場合は育児休業の取得を認めなくても問題はないということになります。
正社員等の場合でも、労使協定を結んでいれば育児休業を認めないということも可能です。

ですが、育児休業を認めなければママは退職するしかなく、募集してもなかなかいい人材の採用が難しい現状を見ると、育児休業を認めることのメリットも大きいかと思います。
国も法では上記の通りとしているものの、より広く制度を利用させることが望ましいとしております。
個人的には育児休業の取得も認めてあげ長く定着する人材へと育てるあげることが、今後の会社運営の面から見ても良いと考えます。
皆さんは、どうお考えでしょうか?

育休を取得できても育休手当は受け取れない!?

育休中に賃金を出すか出さないかは、会社ごとに決めることができます。
つまり、育休手当を会社から出さない(無給)としても、それは問題ではありません。
その代わり、雇用保険に加入していれば育休中の期間もハローワークより「育児休業給付金」が支給されることになります。

ですが、この育児休業給付金、育休が取得できれば誰でも受給できるわけではありません。
育児休業給付金を受給するには以下の要件に該当することが必要です。

①育児休業を開始した日の前2年間に雇用保険に加入していた期間が12か月以上ある
 注)育児休業を開始した日前2年間に雇用保険に加入していた期間が12か月ない場合であっても、
   当該期間中に第1子の育児休業や本人の疾病等がある場合は、受給要件が緩和され、
   受給要件を満たす場合があります。

また、育児休業開始時点において、有期雇用労働者である場合は、以下の要件のどちらにも
該当することが必要です!

②同一の事業主の下で1年以上雇用が継続している
③子が1歳6か月までの間に労働契約が更新されないことが明らかでないこと

これらの要件に該当していなければ、いくら会社で育休取得をOKとしても、育児休業給付金は支給されないのです。

「2年間に雇用保険加入期間が12か月以上ある」って?


出産日から数えて58日目から育児休業が開始となります。
この「雇用保険に加入している期間」は、この「育児休業開始日」の前日から1か月ごとに区切った期間のうち、雇用保険に加入し、賃金の支払いの基礎となった期間が11日以上ある日を1か月として判断します。

・・・ちょっと難しいですよね。
例えば以下のように考えます。

【完全月給制の場合の賃金の支払いの基礎となった期間 】
 →欠勤を賃金計算の際に考慮しないのであれば、賃金の基礎となった期間=1か月の暦歴となります。

【日給月給制の場合の賃金の支払いの基礎となった期間 】
 →例えば欠勤を1日した場合で考えてみましょう。
  賃金の支払いのルールとして欠勤1日の場合は22日分の1日分の給与を控除するとなっていれば、
  22日-1日=21日が賃金の支払いの基礎となった期間となります。
  欠勤を12日した場合は、22日-12日=10日となり、賃金の支払いの基礎となった期間が11日に
  足りなくなるため、「育児休業を開始した日の前2年間に雇用保険に加入していた期間」として
  その月はカウントできないということになります。

また、区切り方によって、その期間が1か月未満となってしまった場合は、その期間の日数が 15 日以上で あって、その期間内に賃金支払基礎日数が 11 日以上あるときは、その期間を被保険者期間 を1/2ヶ月として計算します。

つまり、このようなイメージです。

この場合は今の会社に入社した後の「雇用保険に加入期間している期間」10か月ということになります。
ですので、現職だけで雇用保険の加入期間を見るならば、育児休業給付金の取得要件には該当しません。

ただし、この期間は前職分も考慮してOKです。
前職でも雇用期間の加入期間があれば通算可能となりますので、前職がある場合は上記の例の場合でも育児休業給付金を受給できる可能性が出てきます。
ただし、前職を辞めた後に雇用保険の基本手当(いわゆる失業手当)を受給していると、その期間はリセットされてしまい通算できなくなりますのでご注意ください。

いかがでしたでしょうか?
少しでも疑問の解消につながれば、嬉しいです!

弊所では、従業員の両立支援をサポートするため企業づくりのサポートを得意としております。
ぜひ、会社で育休取得者が出そうだ、男性育休を推進していきたい、両立ができる会社を目指したい!ということがございましたらいつでもご相談ください。