みなさん、こんにちは!
北陸、富山に住む社会保険労務士、渋谷恵美です。
特に育児世代の従業員の定着支援と業務改善、助成金を活用した両立支援のサポートを得意としております。
さて、特に女性の従業員が育休を取得することは、今ではごくごく当たり前となってきております。
しかし、人手不足が深刻となりつつある現在では、その育休を取得する従業員しか担当していなかった仕事がいくつか存在しているのではないでしょうか。
そんな場合、その従業員が育休を取得した後に、その仕事に関することで何かトラブルが起こってしまったら。
そして、その従業員しか解決が不可能だとしたら。
あるいは、年末年始やGWなどのスポット繁忙期にどうしても人手が足りず、慣れた従業員に手伝ってほしいと思ったら。
その育休取得中の従業員に「なんとかこれだけの日でいいから、出勤してくれないか…」とお願いせざるを得ない時もあるかと思います。
でもそのように依頼することって法律違反ではないのでしょうか?
また、従業員が育休中に勤務したら、雇用保険の育児休業給付金やその後の手続きはどうなるのでしょうか?
そもそも育休中に勤務してもらうのは法律違反なのか?
結論から言いますと、育休中に勤務をしても、違反とはなりません。
また、こちらから勤務をお願いすることも、違反ではないんです。
ただし、以下2点について注意が必要です。
①従業員が自ら合意することが必要です。
事業主の一方的な指示によって勤務させることは認められません。
※ 事業主は、その依頼を断ったことを理由として、不利益な取り扱い
(人事考課において不利益な評価をするなど)を行ってはなりません。
また、上司や同僚からのハラスメントが起きないように、雇用管理上
必要な措置を講ずる必要があります。
②従業員の勤務は一時的、臨時的なものでなければなりません。
以下の場合は一時的、臨時的なものとは認められない可能性がありますのでご注意を。
なお、詳しく書かれたリーフレットがございますので、ご確認ください!
育休中に働いたら、育休手当はどうなる?
この話をする間に、まずは 育休手当(※)の支給単位期間について説明いたします。
※これより後に出てくる育休手当とはすべて、ハローワークから支給される育児休業給付金のことを指します。
支給単位期間って?
育休手当は原則2ヶ月に1回申請し、2か月分の金額が申請毎に従業員へ振り込まれます。
この「2ヶ月」の期間は、カレンダーの「1月」「2月」という月で見るのではありません。
育児休業を開始した日を基準として、1か月ごとの期間をいうのです。
この1ヶ月ごとの期間のことを「支給単位期間」と呼びます。
例えば出産日が4/18、育休開始日が6/14~とすると、支給単位期間は以下の通りになります。
6/14~7/13、7/14~8/13、8/14~9/13…
それでは、本題!勤務すると育休手当はどうなる?
①支給単位期間中の勤務実績が10日を超えて、かつ80時間を超えるとき
この場合は、その期間の育休手当は不支給となります。
②上記の日数や時間数は超えないが、給与が出ている場合
給与の額によっては、育休手当は減額となります。
1つの支給単位期間に支払われる育休手当と給与の額の総額の上限は賃金月額 (※) の80%になるように調整されます。
※賃金月額とは、「育児休業開始前の6か月間の賃金÷6」です。
育休手当は開始180日は賃金月額の67%、それ以降は賃金月額の50%ですよね。
つまり、育休開始180日までは賃金月額の13%、それ以降は賃金月額の30%を超えた分の給与額はそのまま育休手当から減額されるんです。
逆を言えば、そのラインを超えなければ、育休手当の減額もないし、給与も全額もらえるということになりますよね!
下に厚生労働省のリーフレットに載っていた例を貼っておきます。
大変わかりやすいので、参考に!
なお、原本はこちらです!
「 育児休業期間中に就業した場合の 育児休業給付金の支給について」のリーフレットはこちら!
働いた際の申請はどうすればいい?
申請書には下画像のように1つの支給単位期間ごとに、働いた日や時間、給与の額を記入する欄があります。
①が支給単位期間
②が働いた日数
③が働いた時間
④が給与の額を記載する欄となっています。
この時、気を付けなければならないのは、日数と時間に関しては
副業した分も含む
という点です。
自社で働く日数や時間が10日かつ80時間を超えていなくても、副業をした時間を含めると超えてしまう場合は育休手当は不支給となってしまいますのでご注意を。
なお、給与の額は副業先の分は含みません。
いかがでしたでしょうか。
育休中の従業員のいらっしゃる事業所様は、ぜひ1つの参考にしてくださいね。