こんにちは。
北陸、富山の社会保険労務士の渋谷恵美です。


「いっそのこと会社を辞めて自由に働きたい!」


会社で好きな仕事をさせてもらえないとき、
上司に自分をきちんと評価してもらえないとき、
出産したとき、
仕事と子育ての両立に悩んでいるとき・・・。

皆さんも1度は自分のこれからの働き方について考えたことはあるのではないでしょうか?

「思い切って会社を辞めて自分で何かをしてみようかな?」
そう考えられた方もいらっしゃるかもしれません。(ちなみに、私はそうでした)

そんなときに気になるのは
「でも、会社を辞めたら何がどう変わっていくのだろう?」

入ったことのない世界、見えない部分が多くて不安も大きいですよね。

実際、例えば「勤め人」と「事業所の代表」では様々な違いがあります。

そこで今回は【会社を辞めて自分で仕事をし始めると何が変わるのか?】につい
て、ご紹介をしたいと思います。

雇用保険はどうなるの?

その前に!雇用保険の基本の話

雇用保険は、一般には「失業保険」とも言われています。
退職等をした方に失業等給付を支給するなど、雇用保険は生活や雇用の安定、就職の促進を図るために必要な給付を行ってくれる制度です。
主なものとして、以下のような支援があります。

【基本手当】

失業手当とも呼ばれており、皆さんの認知度が最も高い給付ではないでしょうか。
会社を退職等し、求職活動をしている期間中に支給されます。
自己都合の退職の場合は、条件によって90〜150日の基本手当の受給が可能です。

【教育訓練給付金】

職業に関する教育訓練を受けた場合に、その費用の一部が支給されます。
様々な資格を取得するために、学校に行ったり、通信教育講座を受講したりした場合などにも支給がされますよ!
※資格例:ファイナンシャルプランナー、介護福祉士、調理師、ケアマネジャー、各種PC検定、簿記検定、医療事務検定、保育士、TOEICなど多数あります。

【育児休業給付金】【介護休業給付金】

子どもが1歳(支給対象期間の延長に該当する場合は1歳6か月又は2歳)未満の子を養育する
ための育休を取得した場合に支給されるのが育児休業給付金です。
育休手当って会社が出すものと思われがちですが、実際はこの育児休業給付金を指す場合が多いです。

また、家族の介護のために、仕事を休んで介護に従事する場合には介護休業給付金が支給されます。
対象の家族1人に対して93日を限度とし、3回まで分割して取得することが可能ですよ。

このように 「雇用保険」は社会保険に比べると保険料も少額で、私たちが長く働いていけるような様々な支援をしてくれます。
加入していると皆さんにとってもお得なことがいっぱいあるのです。

雇用する側は、雇用保険には入れない!

雇用保険はあくまでも「労働者」のための保険。

会社経営者、事務所の代表、フリーランスの方などは原則雇用保険には加入できません。

そのため、先ほどご紹介した手当は一部を除いて受けることが難しくなります。
例えば、出産して仕事を離れても育休手当は受けられなくなります。
また、退職後すぐに起業・開業した場合は、求職活動中ではなくなるため、失業手当ももらえません。

いつ、独立・開業・起業をするのか。
そのタイミングをしっかり見極めることもとても重要です。

ぜひ今後のキャリアプランを考える上での参考にしてください。

社会保険はどうなるの?

ここから先は社会保険=健康保険と厚生年金のことを指すものとして説明します。

まず法人を立ち上げ自身が役員となった場合は、社会保険に加入することが可能です。

しかし、個人事業主やフリーランスとして独立した場合は今まで入っていた社会保険には原則加入できません!

退職後、これまで加入していた健康保険や厚生年金からは脱退し、以下から健康保険を選択することになります。

【国民健康保険と国民年金保険への加入】


国民健康保険料と国民年金の保険料を自分で支払います。
国民健康保険には扶養という概念がないため、家族を扶養に入れることはできません。
扶養している家族も個々に国民健康保険への加入が必要となります。
なお、保険料はお住まいの自治体等加入する国民健康保険先ごとに異なります。

【勤めていた職場の健康保険の任意継続制度を利用】


健康保険には「任意継続」という仕組みがあり、2年限定ですが今までの健康保険に加入し続けることができます。
保険料は会社と折半していた分も支払うことになるため2倍の金額となりますが、家族を扶養に入れることも可能です。

【被扶養者になる】


年収が130万円未満であることが見込まれる場合には、家族の扶養に入ることが可能です。
(その場合は保険料を支払う必要はありません。)

このように、ご自身の年収、お住まいの自治体、扶養家族の有無など、状況によってどのパターンが1番適しているかはそれぞれで変わります。
ぜひシミュレーションをして比較をしてみてくださいね。

税金はどうなるの?


例えば個人事業主やフリーランスとなると、1年間の収支を記録して確定申告をしなければなりません。
事業のために使った経費は、細かいものでもしっかりと領収書を残しておきましょう。
「開業費」として計上できるものはたくさんあります。
意外と抜けがちなので注意してください。

保育園への影響はあるの?


認可保育園に入るための選考は、家庭状況をポイント化した「点数」によって行われますが、
特に個人事業主やフリーランスになるとその点数が下がる場合もあります。
自治体によって基準が異なるため、必ず確認をお願いします。

ちなみに私の住む富山市では、自宅開業の場合は点数が2点ほど下がります・・・。

「勤め人」と「独立」どちらがよい?

まずは自分が一番何を大切にしたいのか。
それに尽きます。
現実的なことを言えば、独立のためにかかるお金やその後の必要な資金は、あらかじめしっかりと確認しておいた方がよいです。
雇用保険や社会保険の制度も使えなくなるケースが多いですし、保険料も場合によっては増額になることもあります。

でも「それでもやりたい!」そう思ったら、その気持ちは本物です。


1つ言えるのは、人生は1回きりということ。
皆さんにとって、後悔のない人生にしてほしいですよね。

今回は会社を辞めた後に変わることを(労働保険や社会保険に関するものを中心に)、社労士の目線でご紹介してみました!

独立・起業・開業・・・。
いざ自分で仕事をするとなると、初めは本当にわからないことばかりです。
相談できる人・相談できる場所はとても大切ですよね。

弊所はそんな皆さんの不安を少しでも払拭し、その夢の応援をしたいと思っています。

困ったことがあれば、いつでも弊所までご相談ください!

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