働き方改革の大きな柱の1つともいえる「年5日の有給の取得義務化」。
2019年4月に施行されてから1年が経過いたしましたが、いかがだったでしょうか?
2年目を迎えた今、もう1度この制度についてまとめてみたいと思います!

今日お話ししたい内容は
①制度のおさらい
②確実な取得に向けた取り組み例 です!


今後の取り組みに役立てていただければ幸いです。

おさらい!「年5日の有給取得ってどんな制度?」

年5日の年次有給休暇(有給)を労働者に取得させることが、使用者の義務となりました。

対象者は?

有給を10日以上もらえる労働者の方が対象です!
この労働者の中には管理監督者や有期雇用労働者も含まれます。

「有給を10日以上もらえる労働者」って?

  1. 6か月以上継続して雇われている
  2. 80%以上出勤している

以上の要件を満たすと有給を取得することができます。
通常の労働者(正社員等)の方は継続勤続年数によって以下の日数が与えられます。

厚生労働省HPより

つまり、2020年4月1日に入社した方がいれば
6か月後の2020年10月1日に10日の有給取得
1年半後の2021年10月1日に11日の有給取得
となるわけです。

ちなみにパートさんなど労働日数が少ない方の場合の有給日数は以下の通りです。

厚生労働省HPより

今回の年5日の有給取得義務の話だけを見れば、先ほども言った通り「有給を10日以上もらえる労働者の方が対象」ですので、表で言うと黒枠で囲った部分に当てはまる方のみが対象となります。

取得を確実にさせるための取り組み例

計画年休

計画年休とは、企業側が前もって有給取得日を指定する制度です。
(企業側と労働者を代表する方との間で労使協定を締結することが必要です。)
企業側は労務管理がしやすくなり、労働者側もためらいなく有給を取得することができます。

例えば
・GWやお盆休暇の前後などで、今まで労働日となっていた日を有給に指定し大型連休とする
・土日の前後を有給に指定し3連休とする

このようにしてあげれば、労働者の方もうれしいですよね。
ただし、労働者の方が有給を自由に取得できるようにするために、「年5日の有給分は計画年休とすることができない」ということが定められています。
つまり、有給が12日与えられる労働者の場合、7日のみ計画年休の対象日となるわけです。

取得基準日を統一する

先ほどの表にもありましたが、有給は継続勤続年数が6ヶ月に達した時に10日、1年半で11日・・・というように付与されていきます。
有給を与えた日を「基準日」といいますが、基準日って実はその人その人によって違うんです。
社員全員が4月1日に入社していれば、基準日は全員「10月1日」となりますが、きっとそのような会社ってそんなにないですよね。
この基準日がばらばらであると管理がすごく大変!
「だれがいつまでにあと何日取得しなければならないのか?」ということが見えにくくなり、取得漏れにつながってしまいます。

ですので、例えば基準日は全員4月1日とし、有給を前倒しで与えるなどして調整していけば、その後の管理もしやすくなるように思います。

半日単位の有給取得

有給5日の取得では「半日単位」というものも認められています。
病院への通院、子どもの懇談会など、1日休まなければいけないほどでもないけれど・・・というシチュエーションって結構多いように思います。
こういった場合に半日単位の有給が認められていれば、取得促進につながるだけでなく、新しい働き方、という視点でも喜ばれるのではないでしょうか?
ワークライフバランスが必須となっている今、このような柔軟な取り組みは今後必要であるように思います。
取得のためには就業規則への明示等、環境整備も必要ではありますが、労働者が半日取得を希望する際にはぜひ検討してみてはどうでしょうか?

有給が取りやすい環境、というのは、将来の働き方を考えていく上でも重要なポイントとなります。
働き方改革も2年目を迎えます。
この改革をチャンスととらえ、ぜひこの取り組みを通して皆様の会社が良い方向に向かわれることを願っております。