もともと厚生労働省でも労働者の「副業・兼業」の普及促進が進められておりましたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、その普及の必要性が高まってきているように思います。

ですが、労働者の副業・兼業を認めると、会社にどのような影響があるのか、実際に副業・兼業を認めるとした場合、どのようなことに留意しなければならないのか、疑問に思う点も多いですよね。
一体どうすればよいのでしょうか?
本日はまず、副業・兼業における企業側のメリット・デメリットについてお話ししたいと思います!

会社が副業・兼業を認めるメリット

優秀な人材の獲得、流出の防止

副業・兼業が認められていれば、優秀な人材があった場合に、その方がすでにどこかの会社の従業員であったとしてもその方を入社させることができるようになります。
また、「他の仕事がやってみたくて」などと退職の相談を受けた際にも、副業・兼業を認めることで会社にとどまってくれる可能性が高くなるように思います。
優秀な人材を見つけ、採用することは簡単なことではありませんので、それら人材の獲得や流出防止につながるのであればメリットも大きいのかもしれません。

生産性の向上につながる

副業しているとなれば、自社の仕事に利用できる時間も限られてきます。
であれば、やはり自分の作業の生産性を上げてやるということが必要不可欠です。
また、他社に入社したことで得られたスキル等が自社の仕事にも活かせることもあるように思います。

事業機会の拡大につながる

副業・兼業等によって得られた人脈や情報等が自社の事業機会に活かせる可能性があります。

副業・兼業を認めるデメリット

労働時間の把握が難しい

労働時間は副業・兼業と通算して考えることとなっています。
(副業・兼業先が労働基準法が適用されない場合(フリーランス、独立、顧問、監事など)や農業・畜産業、管理監督者、監視・断続的労働者などの場合は通算しなくてもOKです)
副業・兼業の労働時間を合計すると長時間労働となっている場合でも、その実態を把握しにくくなる可能性があります。
また、労働時間を通算した際、時間外労働があった場合には後で働いた方の企業が割増賃金を支払う必要も出てきます。
その辺りも十分に注意が必要です。
(36協定にかかる延長時間を考える際には通算しなくてOKとなります。)

秘密が漏洩する可能性

副業・兼業先に秘密が漏洩してしまったり、逆に副業・兼業先の秘密が自社に漏洩する可能性が出てきます。
秘密の漏洩の危険がある場合には就業規則等で副業・兼業を禁止または制限することができるとしておいたり、注意喚起の徹底等が求められます。

本業に専念しない可能性 

例えば、副業・兼業の業務を本業中に持ち込んだり、という可能性も出てきます。
こちらも注意喚起の徹底や、就業規則等でそのような行為があった場合の取り扱いやその後の副業・兼業を制限する等の取り決めが必要です。

これからは優秀な人材の取り合いに?

デメリットを見ると、「副業・兼業の容認は怖い」という意見も出てきそうですが、実際はそのメリットを活かして副業・兼業を取り入れている企業も増えています。

例えば今年7月には、Yahooが他社の副業人材の募集を始め話題となりました。
「業務のマンネリ化に活を入れる」ことが目的とされ、結果100人の枠に20カ国から約4500件の応募があったそうです。
社内の評判も上々で、副業人材と協業したいという声が相次いでいるそう。
他の例でみるとKDDIが今年6月、就業時間の約2割を目安に別の部署で業務できる「社内副業制度」を導入し、こちらも話題となりました。
今後はグループ会社間でも副業できるよう制度を拡充させる方向のようです。

大手企業ではこのところますます副業解禁の流れが進んでいます。
このままいくと、いずれは副業解禁が当たり前の世の中になっていくかもしれません。

次回は副業・兼業を進めるに辺り整備しておくべきことについてお話ししていきたいと思います。