こんにちは!
社会保険労務士の渋谷です。

前回の投稿では、最近国が進めている「副業・兼業」におけるメリットとデメリットについてのお話をさせていただきました。
今回は副業・兼業を自社でも解禁する際にぜひ整備しておいていただきたいことについてご説明していきたいと思います!

副業・兼業を取り入れる際に気を付けるべきこと

長時間労働にならないか?

労働時間は自社と副業・兼業先で別々に考えるわけではありません。
各種規定を見る際には、労働時間は通算して考えます!

対応としては①副業・兼業先の労働時間を申告させるような仕組みづくり(就業規則への明記)
      ②コミュニケーションの徹底
      ③長時間労働になり業務に支障が出る場合は副業・兼業を禁止したり制限できる旨を
       就業規則や労働契約に明記
などがあげられます。

ちなみに時間外労働については、労働時間は通算されます。
例えば副業先で3時間働いた後、自社で8時間働いたとした場合、例え自社で働いた時間が8時間以内であったとしても、通算した労働時間は11時間となり、後で勤務した自社が3時間分の割増賃金を支払わなければなりません。
なお、副業・兼業内容が個人事業だったり委託契約で行われている場合など、労働基準法が適用されない場合は労働時間を通算する必要はありません。

また、36協定を締結する際に検討する
・延長できる時間の限度時間
・特別条項を設ける際の1年についての延長時間の上限
これらを考える際には副業・兼業先での労働時間を加味する必要はありません。
(ただし、副業・兼業先との労働時間を通算した際に実際に時間外労働が発生した場合は、後で働いた方の会社の36協定に影響します。)
さらに、休憩、休日、年次有給休暇を考える際にも副業・兼業先の労働時間を考慮する必要はありません。

その他自社への影響が懸念される場合

例えば副業・兼業先が競合相手である、秘密が漏洩してしまう、副業・兼業によって自社の名誉や信頼が損なわれたり、信頼関係を破壊してしまう、労務の提供に支障が出るなど様々なデメリットが考えられます。
対応としては、①副業・兼業の内容を申請させるような仕組みづくり(就業規則にも明記)
       ②労働者とのコミュニケーションをとりやすい環境の整備
       ③上記に記載した内容について影響があると判断した場合には副業・兼業を禁止したり
        制限できる旨を就業規則や労働契約に明記
       ④注意喚起の徹底
などがあげられます。

また、副業・兼業内容の申請に関しては、例えば以下のような内容を確認していきます。

・副業・兼業先の業務内容やその労働者が従事する予定の業務内容
・労働時間が通算の対象となるかどうか
・副業・兼業先との労働契約の締結日、所定労働時間、始業・終業時刻等
・副業・兼業先での時間外労働の有無、ある場合はその時間等
・これらの内容を確認していく頻度
 (頻度においては毎日報告させる必要はありません。
  例えば労働時間については1週間に1回だったり、所定労働時間通りにならなかったり時間外労働の
  上限に近づいてきた際に報告させる、ということで足ります)

いかがだったでしょうか?

次回は副業・兼業の際の労災について説明をいたします!