こんにちは。
社会保険労務士の渋谷です。
国が推し進めている「副業・兼業の解禁」。
このコロナ渦の中で、富山でも認め始めている企業様もちらほら見られるようになりました。
そういった、副業・兼業をしている労働者の方の労災保険の給付について、今年の9月1日より改正・施行された内容がございますので、今回ご紹介させていただきたいと思います!
今回の改正のポイントは?
ポイント1 保険給付額を決定する際はすべての給与を合算して計算!
今までは、労災が起こった際、その労災が起こした勤務先の給与の額のみを考慮し給付額が決定されておりました。
しかし、9/1以降に起こった労災についてはすべての勤務先の給与の額を合算した金額より給付額が決定されます!
ちなみに、対象となるのは以下の給付です。
・複数事業労働者休業給付
・複数事業労働者障害給付
・複数事業労働者遺族給付
・複数事業労働者葬祭給付
・複数事業労働者傷病年金
・社会復帰促進等事業として行われる特別支給金
労災を起こしてケガや病気になってしまったら、他の勤務先も休むことになったり、仕事が制限されるなど影響は必ずあるもの。
それなのに、そっちの給与額は考慮されず、給付額が少ないとなるとなんだか腑に落ちませんよね。
そう考えたら、給与額の合算は副業・兼業を進めるにあたっては必須の改正だったようにも思います!
ポイント2 労災認定の際に検討される 「業務上の負荷」もすべての事業所について総合的に評価!
今までは、1つの事業場のみの業務上の負荷(労働時間やストレス等)を評価して、労災にあたるかどうかの認定の判断がされておりました。
今回の改正によって、1つの事業場のみでは労災認定されない場合は、複数の事業場の業務上の負荷を総合的に評価して、労災認定の判断をするようになります。
なお、対象となる傷病等は、脳・心臓疾患や精神障害などです。
特別加入の場合はどうなるの?
今回の改正は特別加入の方も対象です!
・ 1つの会社と労働契約関係にあり、他の就業について特別加入している方
・ 複数の就業について特別加入をしている方
上記該当する方は対象となりますので、ご安心ください。
メリット制には影響があるの?
労災保険率や保険料は業務災害の多少によって、増えたり減ったりする場合があります。
これを「メリット制」と言いますが、今回の制度改正については、メリット制には影響はしません。
従来通り、業務災害が発生した事業場の賃金に相当する保険給付額のみがメリット制に影響します。
様式が変更されています!
今回の法改正によって、各種申請様式が改正されています。
副業・兼業をしている労働者の方の申請をされる際は新しい様式を使用しましょう。
なお、申請の際には以下の別紙を各複数就業先ごとに記入してもらい、併せて提出する必要がありますのでご注意ください。
以上、いかがでしたでしょうか?
ご不明な点等ございましたら、いつでもお問い合わせください。