こんにちは。
北陸、富山の社会保険労務士×食品コンサルタントの渋谷恵美です。

食品衛生法の大改正の1つ、「HACCPの導入」。
前々回、前回と小規模な営業者等が対象となる「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」(簡略化されたもの)について概略をご説明いたしました。
まずはそちらの記事をお読みいただけるとより 「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」とはどんなものなのかがわかっていただけるかと思います。


前々回の記事「ついに来月からHACCPが始まります!」

前回の記事「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理~衛生管理計画(一般的衛生管理編)~」


その中でもお伝えいたしました通り、HACCPを進めるにあたっては、まず「衛生管理計画」を作ることから始まります。
衛生管理計画は、
① すべてに共通する部分における一般的衛生管理のポイント
②メニューそれぞれの製造方法に合わせて行うべき重要管理のポイント 
以上2つについて立てる必要があります。



前回はこのうちの①についての説明をいたしましたので、今回はその続きとして②についての詳細なお話をしてみたいと思います。

今回も飲食店での取り組みを例に挙げて説明していきます。

衛生管理計画の策定のうち、重要管理の具体的な話

飲食店でメニューを調理する上で1番気を付けたいのは「温度管理」です。
細菌は10~60℃の温度帯では爆発的に増殖します。
つまり、この温度帯で調理したものを放置しておくと、すぐに劣化、食中毒等の発生の危険性が高まります。
ですので、短時間での処理、あるいは素早い冷却対応等が必要となってきます。

そこで「HACCPの考えを取り入れた衛生管理」では、 調理中の危険温度帯に着目し、品質の保たれた商品(メニュー)管理を行う手段として、調理中の温度帯を一定頻度チェックするということを推奨しています。

これを聞いただけでは一体どうやって進めればよいのかはわからないですよね。
ということで、以下具体的な流れを説明いたします。

STEP1 メニューを分類しよう!

調理の際に、加熱、冷却、保存などの種類から、以下の3つのグループで メニューを分類します。

公益社団法人日本食品衛生協会
「 HACCPの考え方を取り入れた衛生管理のための手引書 (小規模な一般飲食店事業者向け )」より

STEP2  重要管理ポイントとチェック方法を決めよう !

例えば上の「第1グループ」を見てみましょう。
こちらのグループは調理中に「加熱」しないため、保管の温度管理が重要となります。
有害な微生物に汚染されていても、加熱殺菌できませんからね!
ですので、微生物に汚染されていない食材を使用するか、 万が一、付着していた場合でも微生物が増殖しないように冷蔵庫(低温) で保管することが大切になります。

そう考えると、以下のようなチェック方法を定めることができます。

公益社団法人日本食品衛生協会
「 HACCPの考え方を取り入れた衛生管理のための手引書 (小規模な一般飲食店事業者向け )」より

さらにもう1つだけ、「第2グループ」を見てみましょう。
こちらのグループは調理中に「加熱」するため、有害な微生物に汚染されていても、一応は加熱殺菌できると考えられます。
ですが、その加熱温度や時間が不適だと、十分に殺菌することはかないません。

そこで以下のようなチェック方法を定めることができます。

公益社団法人日本食品衛生協会
「 HACCPの考え方を取り入れた衛生管理のための手引書 (小規模な一般飲食店事業者向け )」より

このように衛生管理計画を作成していきます。
少し難しいようにも見えますが、やってみるとそうでもありません!
ぜひ進めてみてください。


次回はこの次の段階となる「計画に基づく実施~記録・確認~」についてお話ししてみたいと思います。


弊所ではHACCP導入のサポートも行っております。
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