こんにちは。
北陸、富山の社会保険労務士×食品コンサルタントの渋谷恵美です。

前回までに、小規模な営業者等が対象となる「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」(簡略化されたもの)について、順を追って説明をしてまいりました。

1回目の記事「ついに来月からHACCPが始まります!」

2回目の記事「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理~衛生管理計画(一般的衛生管理編)~」

3回目の記事「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理~衛生管理計画(重要管理編)~」

前回まではこのように、 HACCPの考え方を取り入れた衛生管理を行うにあたってまず作成すべき「計画」についてのお話をしてまいりました。
今回はこの次のステップである「計画に基づく実施」についてのお話をしてみようかと思います。

今回も飲食店での取り組みを例に挙げて説明していきます。

記録の実施~手順書の作成~

衛生管理計画の作成が終わったら、次はこの計画に基づいてチェックを実施していきます。
この時、どのように運用していくのかの「手順書」を作成しておくと、その後の運用もスムーズに行えますし、「スタッフの方によって方法が違う」、「入れ替わりの際に引き継ぎがうまくされておらず、チェックができていない」といったようなことも防ぐことができます。

手順書の例として、以下の内容が例示されておりますので、一部載せてみます。
ご参考にしてください。

公益社団法人日本食品衛生協会
「 HACCPの考え方を取り入れた衛生管理のための手引書 (小規模な一般飲食店事業者向け )」より

記録の実施~実際の書き方~

ここまでに、衛生管理計画として①一般衛生管理と②重要管理の2方向から作成を行ってきました。
次はこの計画に沿って記録をしていきます。

以下記録の例です。

公益社団法人日本食品衛生協会
「 HACCPの考え方を取り入れた衛生管理のための手引書 (小規模な一般飲食店事業者向け )」より

もう少し詳しく見てみましょう。

例えば一般衛生管理のうち、1番左の「原料の受け入れ確認」。
先述した中で、計画を運用するための「手順書」を作成すると良いですよ、とのお話をしておりました。
上の例のように、手順書の中に実際に原料を受け入れ時にはどの様にしてその原料のチェックを行っていくのかについての方法を示しておくと、大変便利です。
手順書の流れに沿って見ていけばよいだけですからね!

現状を確認し、問題なければ「良」に〇を、問題があれば「否」に〇をして、その問題に対してどのような対応を取ったのかということも併せて記載しておきましょう。

公益社団法人日本食品衛生協会
「 HACCPの考え方を取り入れた衛生管理のための手引書 (小規模な一般飲食店事業者向け )」より

次に重要管理の方の記録についても詳しく見てみましょう。
計画書にあるチェック方法に基づいて調理したメニューを確認し、分類ごとにまとめて記載を行います。
この際も、 問題なければ「良」に〇を、問題があれば「否」に〇をして、その問題に対してどのような対応を取ったのかということも併せて記載しておきましょう。

公益社団法人日本食品衛生協会
「 HACCPの考え方を取り入れた衛生管理のための手引書 (小規模な一般飲食店事業者向け )」より

また、記録は1年間の保管をお願いいたします。

記録の意味

HACCPにおいては、この「記録」が何よりも大事とされています。
自分たちで決めた「衛生管理のポイント」を記録を通してしっかりと管理することで、食中毒発生を未然に防止にすることにもつながりますし、万が一問題が発生した場合でも、衛生管理を適切に行っていたことの証拠書類とすることができます。
自分たちの身を守るためにも記録は大事なのです。

また、記録をつけ続けていると、自社に存在する様々な問題や改善点が見えてきます。
例えば「一定程度オーブン温度が下がるときがあるな」とか「この材料をこっちのメニューにも代用できればもう少し効率的にできそうだな」とか、今までは何となく流れていた点にも気が付くことにつながります。
このように記録は HACCPだけでなく、生産性の向上などといったような他の内容にも効果を見出すことができるのです。

いかがでしたでしょうか?
何かご不明な点がございましたら、お問い合わせください。


また、弊所では HACCPへの取り組みのほか、食品表示の作成においての相談、 労働に関する相談等も受け付けております。
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